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2010年10月26日 (火)

「ハーブ&ドロシー」アートの森の小さな巨人 

 ドキュメンタリー映画「ハーブ&ドロシー」の先行上映会に行ってきました。NY在住の現代アートのコレクター夫妻を追ったストーリーなのですが....

 普通、アート・コレクターと言えば裕福な階層の人たちで、庶民とはかけ離れた存在だと思われがちです。事実、NYのアートコレクターと言えば、展覧会のレセプションではアルマーニのスーツでキメてシャンパンを開け、セレブリティとの派手な付き合いを見せびらかすような人も少なくありません。ところが、ハーバート&ドロシー・ヴォーゲル夫妻は、そんな派手さ・贅沢さとは無縁です。ハーブは郵便局員、ドロシーは図書館司書でしたから、決して裕福ではありません。それでも現代アートのまだ無名のアーティストを鋭い嗅覚で発掘し、彼らと友人兼パトロンとして付き合い、コレクションを築き上げてきました。その数なんと4000点以上!夫妻曰く、自分が良いと思ったから買う。これが実は大変難しいのです。

 私もアートとは畑違いですが、コレクターの端くれですので、自分の好きなものだけ買うのがどれだけ難しいか、骨身にしみています。これは評価が高いから、とか有名なコレクターがお墨つきをあたえているからとか、とにかく雑音が入ります(笑)。自分の買いたいと思ったモノと真剣に対峙せずに、世間の評価にぐらついてしまうのです。ところがこの夫妻は決してぐらつきません。またアーティストが駆け出しの頃に買った作品はその後どんどん高値がつきましたが、ただの一つも売りませんでした。どれか一つでも売れば大金が入るにも関わらずです。ハーブは「お金よりアートが大事だ」と映画の中で言い切っています。どれだけアートを愛しているか、伝わってくると思いませんか。膨大なコレクションはすべてアメリカのナショナル・ギャラリーに寄贈されました。

 夫妻は二人三脚でコレクションにまい進してきましたが、またこの夫婦が素敵なのです。二人とも、キュートで魅力的。この魅力は、二人が自分自身とお互いに正直なところからくるものだと思います。ひたむきさ、純真さ、情熱、そしてかけがえのないベスト・パートナー。現代のお伽話のような奇跡のお話です。

 11月13日から渋谷のシアター・イメージフォーラムで公開される予定です。是非、ご覧になって奇跡を目の当たりにして下さい。

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