カテゴリー「展覧会」の4件の記事

2010年3月 6日 (土)

「三井家のおひなさま」展

もう雛祭りは過ぎてしまいましたが、三井記念美術館で開催中の「三井家のおひなさま」展に行ってきました。毎年春恒例の展示で今年で5回目になるそうですが、私は今回が初めてでした。近頃では、男雛・女雛のみの簡略化された雛人形を飾る家がほとんどでしょうし、ましてや15人、7段フルセットとなるとお目にかかるのも稀です。赤い緋毛氈の敷かれた段々の上にお内裏様をはじめ、三人宮女、随身、五人囃子に可愛らしい雛道具の数々が飾られた様はなかなか圧巻です。これだけ揃って雛人形を見るのも初めてなので、一つ一つのお顔がだいぶ違うのが見て取れます。人形は顔が命といいますが、端正な顔立ちが最高とされたのも比較すれば良くわかるもの。本当に一つ一つの顔が違うので、人形師がそれぞれ最高と考えた美を人形に込めたのでしょう。

 雛祭りのルーツは平安時代に遡り、元々は紙や布製の人形で身体をなすってケガレを人形に移してから、川や海に流す厄落としが起源です。その後、厄落としの習俗が廃れても、人形を飾る習慣は残り、時代を経るごとに人形は豪華になっていきました。江戸時代には雛人形と雛道具類は完成を見、現代まで伝わっているのです。

 実は私のお目当ては人形ではなく、雛道具でした。正直なところ、人形は苦手です。リアルな日本人形やビスクドールの置いてある部屋に自分1人でいるのは恐いくらいですから(笑)。

 目当ての豪華な蒔絵や銀製のミニチュア雛道具は素晴らしかった。手のひらにすっぽり収まるサイズに精巧に造られた箪笥、長持、鋏箱、火鉢に駕籠や御所車。艶のある黒漆に金で唐草文様を蒔いた小さな芸術品です。小さくて精巧な造りの工芸品全般をこよなく愛する者としては堪えられない世界です。あの雛道具類を愛でて遊んでみたいものです。かつての三井家で執り行われた雛祭はさぞや華やかだったでしょう。

展示は4月4日まで開催中ですので、ご興味のある方はどうぞ。

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2009年12月13日 (日)

ウィリアム・ド・モーガン展 19世紀タイル・アートの巨匠

アーツ・アンド・クラフツ運動を提唱したウィリアム・モリスは知っていても、同時期に活躍した装飾タイル作家ウィリアム・ド・モーガンを知っている人は少ないと思います。かく言う私も、友人(アーツ・アンド・クラフツの銀器コレクター)からご招待券をもらうまで、誰それ?状態でした。

まずは観てみないことには、とお休みを利用して新橋のパナソニック電工ビルにある美術館に行ってきました。展示は小規模ながらなかなかの充実ぶり。一枚一枚、額に入れて飾っておきたくなるような装飾タイルは特にブルー系の発色が素晴らしく、鮮やかでありながらクドくならないのは、ムラのあるぼかした感じの発色のせいでしょう。このタイルを装飾に取り入れた家を、19世紀当時の富豪が造らせています。展示では写真だけの紹介でしたが、ピーコック・ハウスと名付けられた邸宅は室内と室外両方の要所要所にタイルをあしらい、素晴らしいアクセントになっています。室内なら暖炉のまわりを唐草模様のタイルで取り囲んで暖炉を中心とした一つの作品となっていたり、室外なら離れに通じる廊下の天井から壁をブルーのタイルで覆いつくしたり。邸宅の写真だけでも、これが個人のお宅?とと言いたくなる美しさが伝わってきます。100年後、文化財として保存される芸術品のような家を造らせてそこに住むなんて!究極の道楽だわ~とちょこっと夢を見させてもらいました。

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素敵なタイルです!

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2009年10月30日 (金)

七宝展 -色と緻密の世界 -

 銀座INAXギャラリーで開催中の七宝展に行ってきました。七宝というと皆さん、どんなイメージを思い浮かべますか?現代の日常生活に七宝細工はほとんど見当たりませんので、良くわからない、という方が多いと思います。せいぜいが七宝細工のアクセサリーや小箱ぐらいでしょう。幕末から明治・大正・昭和初期にかけての期間、漆芸・金工・七宝・陶磁器などの手工芸は日本が世界に誇れる伝統工芸品として、隆盛を極めました。しかしあまりに手間と人手がかかり、また生活が欧風スタイルに変わる中で職人が減り、戦争勃発がとどめを刺す形で衰退していきます。基本的に超贅沢品で当時から海外の富裕層を主要顧客としていたため、現代日本では認知度が低く、芸術品レベルに昇華した手工芸品は最近ようやくその魅力が知られ始めてきています。2004年に開催された「万国博覧会の美術」展でずいぶん、一般の認知度があがりました。この展覧会は盛況でしたから、行かれた方も多かったでしょう。

 INAXギャラリーでの展示は七宝のみで、ごく小規模な展示ですが、訪れる人も少なく落ち着いて鑑賞できます。小さな飾り壺や花瓶や皿を埋め尽くす鮮やかな色彩、緻密さは顕微鏡で拡大するとなおのこと、その素晴らしさがわかるクオリティです。没頭して見ていると、色の洪水の中でめまいすら起こしそう。溜息ものです。展示は11月21日までですので、ご興味のある方はどうぞ。

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2009年5月 5日 (火)

まぼろしの薩摩切子展

昨日はだんなを連れてサントリー美術館へ。
「まぼろしの薩摩切子展」が5月17日まで開催中。
薩摩藩で幕末の10数年の間に花開いたものの、1863年の薩英戦争によってガラス工場が破壊されて以降は急速に衰退してしまう。
通常切子ガラスと言うと、無色透明のカットガラスを思い浮かべるだろう。無色のカットグラスの代表は江戸切子だが、薩摩切子の最大の特徴はその鮮やかな「色彩」にある。紅色・藍色の色被せ(これで”きせ”と読む)ガラスで華やかに彩られ、また多彩なカット文様で飾られた品々はため息のでる美しさだ。色のない無色の薩摩切子もあるが、何しろ製作期間があまりにも短いため現存する作品は160点あまりに過ぎない。なかでも一品は、天璋院篤姫の嫁入り道具の切子で造られた雛道具セットだ。ままごとのような小さい皿や道具類が、小さいながら精巧に造れらていて、大奥でひな祭りを祝った際に、女性たちの眼を楽しませたのだろうかと想像を膨らませるものだった。
でも素晴らしい作品類を眼にして思い浮かんだ一番のこと。それは、「この切子グラスで冷酒いったら、旨いだろうなあ~」(笑)酒飲みとしては、薩摩切子で良く冷えた冷酒を飲むなんてこれ以上ない贅沢。現代の復刻版の切子グラスを買って、キューと一杯行くかな。

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