カテゴリー「有名人のホロスコープ」の6件の記事

2010年1月27日 (水)

タイガー・ウッズのホロスコープ 不倫スキャンダルの行方 ②

前回の更新から3週間近くご無沙汰していましたが...今年もよろしくお願いいたします。

ウッズ読みを続けますね。次に月と金星から、ウッズの内面の女性像をみていきます。

太陽・月・金星・火星の対比でみていきますと、「ちょっと息抜きをするけど、やはり家庭が大事」が基本的なパターンです。妻像を表す月は火星とオポジション、木星とトライン。勝気で感情が激しやすい一方で、おおらかさや楽観的な明るさを持つ女性を妻に望む傾向が読み取れます。怒っても尾を引かないタイプ。7ハウス木星との関わりから公的な場に連れていって見栄えのする派手目な女性と縁があるでしょう。実際、妻のエリンさんは元モデルの長身のブロンド美人です。月は安定した関係の女性で、一方の安定する前段階の女性、またセクシャルな対象としての女性の好みを表す金星はさそり座に位置します。基本的に金星がさそり座にありますと性的魅力にあふれる情の濃い女性を好みます。ただし金星のアスペクトは水星と土星のソフトアスペクトしかなく、セクシャルであっても、落ち着いた雰囲気の知的な女性を好むことを表します。このように月と金星はトランス・サタニアン(天王星・海王星・冥王星)とアスペクトを形成してませんので、女性に多いに関心はあっても逸脱した好みは見受けられません。

ではどうしてウッズがあれほどの不倫に走ったのか、結婚時と不倫暴露時の天体配置を見て行きます。結婚は2004年10月ですが、いくつか結婚を暗示させる星の配置があります。

Tiger_woods_marriage_2

1ハウスのトランシット木星は社会的な承認や幸運を表し、ネイタル土星とトランシット土星が合になるサターン・リターン(占星術的な意味合いで真に大人になる時期を表す。この時期に結婚する人多数)、トランシット海王星は5ハウスを運行してロマンチックな恋愛気分は盛り上がり、とどめはトランシット冥王星がネイタル月に合になりつつありました。冥王星は運命的といって良いほどのパワーで関わる事柄を根底から変えてしまう働きがあります。妻を表す月に冥王星が影響を及ぼした結婚ですので、ウッズからするとまさに運命を感じたと思います。

その後の結婚生活では2人の子供にも恵まれ、ゴルファーとしてのキャリアも順調...だったはずが何が起こったのでしょうか。トランシットの冥王星はこの期間ずっとウッズの月に圧力をかけ続けていました。月は妻を表すと同時に情緒も表します。冥王星が関わるとそれまでの感情のパターンは大幅に変更を迫られます。おそらくこの時期は相当なストレスとプレッシャーを感じていたはずです。それは妻との関係もウッズにとってストレスになっていたことも予想できます。また2006年12月には進行の太陽と月が合になるプログレス新月になり、30年弱の大きな内面エネルギーのサイクルが切り替わっていたことが分かります。プログレス新月直前は一つのサイクルが終わって活力が大幅に低下しますが、新月後は逆に活力に満ちた状態になります。いずれにせよ、ウッズの内面では大きな変化が見られた時期です。その一方でトランシットの海王星は徐々にウッズの金星にスクエアの角度を取り始めていきます。しかも恋愛の5ハウスで!T海王星がハードアスペクトでN金星(=婚外の女性)に関わり、T冥王星がN月(=妻)に合でプレッシャーをかける。これから読み取れるのは、妻から逃れて婚外の女性で息抜きをする、になります。T海王星の象意には様々なものがありますが、男性の金星にハードアスペクトを形成するケースでは逸脱した行為の一つとしての、不倫に走るケースは多々見受けられます。海王星の関わる関係は、非日常的な夢想・妄想を満たすものや社会規範を無視したものになりがちだからです。(もちろん、不倫以外でT海王星対N金星のパワーを使いこなす男性は大勢います。念のため)

Tiger_woods   

2009年の12月、一連の不倫が暴露され、メディアを賑わせていた頃の図です。T冥王星はもう山羊座に入り、月への影響は薄れていますね。ですが、天秤座に入ったばかりの土星とあわせてそろそろウッズの太陽に影響を与え始めていそうです。海王星は木星と一緒に水瓶座の終わり頃を運行し、金星を揺さぶり続けています。注目して欲しいのはDSCに差し掛かりつつあるT天王星。N月に正確にスクエアになりつつあり、妻との関係性に何らかの変化が見られることを表します。しかもDSCにかかっているので、社会的に目立つ状態です。天王星の象意は自立や離反、予想外のハプニングなどですが、妻との関係性の悪化が暴露される..とも読めます。エリン夫人がゴルフクラブで車のフロントガラスをたたき割ったのは、やはり夫婦喧嘩が原因なのかもしれません。

ここでウッズの金星に捕捉を。ウッズの10数人の浮気相手の女性達は良くぞここまで集めたと感心したくなるくらいのチープ・ゴージャスな金髪巨乳美女ばかり。ウッズの金星は3ハウスですが、さそり座の金星in3ハウスの出方として面白いです。3ハウスの金星は刺激や変化を女性に求めますが、この場合の”変化”は3ハウスなので表面的で、付き合うごとに違うタイプの女性を求める方向にはいかず、似た様な相手を次々と変えるという方向になります。また3ハウスは双子座と関連付けられるハウスですが、ウッズの火星も二子座で、彼自身の行動も同様な傾向があり、それが一連のラインナップになるわけです。そういえば、浮気相手の一人は女性教師役でAVに出演したこともありましたか。セクシーで知的なウッズの金星イメージにぴったりかも(笑)。この金星はさそり座29度で、サビアンシンボルではさそり座の29度は「インディアンの女が酋長に自分の子供の命乞いをしている」で、人との縁がなかなか切れず腐れ縁をずるずる引きずる意味合いがあります。この度数の持ち主は人にまとわりつかれる経験が多くなりますが、まさに女性にまとわりつかれていると言えますね。N金星とT海王星スクエアの体験としては、不倫よりも関係を持った女性達に翻弄される方が本命かもしれません。今これからスクエアのアスペクトがタイトになりますし。

これからのウッズを星で見て行きますと、T土星スクエアがN太陽と形成され、7年ごとの土星の調整時期にあたり、色々と問題点がでてきます。2011年~2013年はT冥王星がN太陽と合、T天王星はスクエア。天王星と冥王星のスクエアは大変、破壊的な組み合わせで相当な困難が予想されます。人生を根幹から破壊し、また再創造する意味合いですので、そう簡単に浮上するのは難しいと思います。天分は十分、努力も十分ですので、また元気にプレーする姿を見たいものです。

最後にちょこっと付け加えたいのが、ウッズの人柄です。関係した女性達の中には娼婦まがいの人もいたわけですが、暴露された留守電の内容を読む限りでは大変、紳士的な接し方をしています。こういう女性達であってもぞんざいに扱わず、丁寧に応対する姿勢から彼の誠実な人柄が偲ばれますね。早く復帰して欲しいです。

                                                          

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2009年12月19日 (土)

タイガー・ウッズのホロスコープ 不倫スキャンダルの行方 ①

タイガー・ウッズと言えば、ゴルフに関心がなくとも名前を知る人のいないほどの結果を出しているプロゴルファー。最近の不倫スキャンダルの凄まじさに、ホロスコープにその象意がでているのか、ちょっとチャートを読んでみました。ぴーぴんぐとむです(笑)

ウッズと言えば、ストイックな練習態度、慈善事業に熱心、品行方正と模範的なアスリートとみなされています。私も最初、不倫スキャンダルのニュースを読んだ時は、何かの間違いか、もしくは金目当ての女性に食いつかれたのでは...と思ったくらいです。

....ところがチャートを見て、唸りました。こちらです。

Tiger_woods

                    

月・海王星・火星・木星・冥王星で強力なミスティック・レクタングルが形成されています。この配置は高度な応用力や高い生産性をもたらすことが多く、非常に使い勝手が良いのです。私生活や感情の月・活力の火星・社会的な発展の木星・霊感とビジョンの海王星・根底の意思を表す冥王星がそれぞれ、緊張と緩和を繰り返しつつ、生産的に影響を与え合います。とりわけふたご座の火星がMC近くにカルミネートしていて、ウッズのアスリートとしての社会的な経歴を象徴しています。ASCとMC双方のルーラーは山羊座で5ハウス。5ハウス活動(創作・娯楽・レジャー・スポーツ・楽しみ全般)をすることによって、社会的な経歴も上がり、また情熱を注ぎます。山羊座の太陽は4ハウスに位置し、保守的で古風な人生コースを望むことを表します。7ハウス牡羊座の木星・1ハウス天秤座とこの太陽はT-スクエアを形成し、野心家で強い権力志向の持ち主でしょう。しかも活動サインでアンギュラー・ハウスのT-スクエアですので、その傾向はさらに強まります。こうしてみると、太陽と月が関わるミスティック・レクタングルとT-スクエアには締める天体、土星が関わっていないので、人生の基本路線として果てしなく成長・拡大・膨張する性質を持っていることが読み取れます。その一方で土星と天王星は水星とT-スクエア。これは合理的で計算高い知性を表します。無駄を嫌い、せこさもでてきます。土星はまた金星とトライン、水星とオポジションのレクタングル。金星は一般的な人気や評判に影響を与えますので、ウッズの清潔で折り目正しく優等生なイメージはこの金星からきていますね。オーブを広くとれば金星はドラゴンヘッドとも合になり、セレブなイメージキャラクターとして大変受けが良かったことが分かります。ウッズの月は射手座。快活で自由奔放な気質の人ですが、4ハウスに位置するので、安心できる環境を求める傾向があります。ウッズが私生活を完全に閉じてマスコミの干渉を許さず、家庭を大事にしたのは4ハウスの月と太陽の賜物と言えそうです。また水星の計算高さで、緻密なマスコミ対策をした面もあるでしょう。

 大まかにざっくり読んでみましたが、続いて不倫する男性の特徴としては、まず火星と太陽両方に注目します。太陽は夫婦、ステディな恋人など安定した男女関係で発揮する資質、火星はまだ軽めのお付き合いの段階でどう振舞うか、を表します。太陽はかなり保守的な傾向が見て取れ、権力志向のアスペクトを考慮に入れると、結構ワンマンな感じです。拡大欲求が異性関係に向かうと、浮気症の資質ありとも取れる可能性がありますが、これだけでは断定できません。火星はふたご座で、ミスティック・レクタングルの一角を占め、木星とセキスタイル、海王星とオポジション、冥王星とトライン。ふたご座の火星は常に変化と刺激を求める性向を表し、特に海王星とのアスペクトから逸脱しやすさが読めます。しかも3ハウス-9ハウスのオポジションで気軽に女性に声をかける、いわゆるストリート・ナンパをするタイプの可能性が大です。太陽と火星の対比から見て、安定した保守的な家庭を築きつつも、ツマミ食いは....するかな?といったところです。

月・金星と、進行と経過の影響は次回に回します。

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2009年9月13日 (日)

ルネ・ラリックのホロスコープ(2) 芸術家とパトロンの関係

ルネ・ラリックは生涯を通じて、援助をしてくれる人に恵まれましたが、中でも個人として最大の援助をしてくれた人はアルメニア人の石油王、カルースト・グルベンキアン(1869-1955)でしょう。とにかくラリックの好きなようにジュエリーを作らせてくれ、期限も定めず、支払も言い値で、という芸術家からしたら夢のようなパトロンでした。ラリックがグルベンキアンのために製作したジュエリーは大作の傑作ぞろい。思う存分作らせてくれたのでさもありなんという感じですが、それらのジュエリーは現在、ポルトガルのリスボンにあるグルベンキアン美術館に収蔵されています。ラリック自身のホロスコープでも7ハウスのルーラー土星が2ハウスに位置します。パートナーとの関係で経済的な基盤が安定する配置です。8ハウスにはパート・オブ・フォーチュンもあり、他者から有形無形の援助が得られることを表します。それでは芸術家と援助者の関係は占星術上、どのような相性としてでるのでしょうか?
 その前に美術品コレクターという人種についてちょっと説明をする必要があります。たいてい、一代で財を成した資産家は、お金を稼ぐ能力は優れていても、優れた美意識や審美眼を持ち合わせることは稀です。全く別物の能力ですので当然ですが、では豊富な資金力を持ち、なおかつ優れた審美眼を同時に持ち合わせるコレクターは、というと一番多いのが何世代か裕福な暮らしをしていて、教養や美意識を育める恵まれた環境に育った人たちですね。もちろん、とんでもなく貧しい境遇に生まれ育ちながら鋭い美意識を持った人もいますが(シャネルや北大路魯山人などはこのケース)やはり例外的と言えます。グルベンキアンは石油商を父親に持ち、ロンドンに留学して石油工学を学び、20代で石油ビジネスに携わります。30代の時にはロイヤル・ダッチとシェルの合併を成功させ、ロイヤル・ダッチ・シェルの大株主になります。その後も様々な石油会社の5%株主になるという行動から「5%の男」というあだ名がつけられ、石油ビジネスで巨万の富を築く一方で、美術品収集と慈善事業にも精を出します。豊富な資金力と優れた審美眼の両方を持ちあわせた人物であることが経歴から分かります。美術品収集は20代から初めていますので、美術には相当に造詣が深いと言えますね。

Gulbendian_4 ざっとグルベンキアンのチャートを見ていきます。出生時間は不明ですので正午の図です。まず目につくのが火の星座での火星・木星・土星・海王星のグランドトライン。これは火の星座の休みない創造意欲が社会活動の分野で強力に働く組み合わせです。グランドトラインの一角を海王星が占めることで、海王星のビジョンを社会活動に安定的に落とし込むことができます。石油も美術品も慈善事業も海王星の管轄です。海王星はこのチャートのカギと言えます。グランドトラインだけですと、恵まれすぎていて怠惰になったりする傾向もでてきますが、グランドトラインの一角の火星に対し、冥王星がタイトにスクエア、海王星と天王星もスクエアと、二つのスクエアがこのグランドトラインにドライブ感を与えています。物事を積極的に動かすにはスクエアは欠かせませんので、使い勝手の良いグランドトラインですね。太陽は牡羊座の3度でキロンと合、月とはトライン。牡羊座の初期度数は世俗的な価値観からは遠く、浮世離れした性質を与えます。社会的な成功はおさめたものの、さほどいわゆる「成功」には執着しないであろうことは読み取れます。
                 Lalique_gulbenkian_3 このチャートをラリックの出生図と重ね合わせてみます。内円がラリック、外円がグルベンキアンです。グルベンキアンの海王星とラリックの太陽は牡羊座17度で誤差なしの合。グルベンキアンの火のグランドトラインのエネルギーがラリックの太陽に注ぎ込まれている相性です。ラリックの太陽・月・木星のT-スクエアがグルベンキアンのトラインと合体してカイトを形成しますので、より動きがでてきます。相性図で木星と海王星の合が相手の重要な天体とくっついている場合、発展性・夢の実現・援助が与えられます。ラリックは正に最大限の援助と理解をグルベンキアンから得られ、一方でグルベンキアンからすると自分のイメージする理想の美や夢をラリックが現実のものとしてくれるという相性です。夢のような恵まれた相性ですね。二人の夢の結晶の方向性は牡羊座17度。サビアンシンボルは「婚期を過ぎた未婚の高貴な女が二人、沈黙して座っている」で極度に鋭い精神性を持ち、世俗的な価値観を否定する度数です。ラリックがグルベンキアンのために作ったジュエリーは、巨大なアメジストをくわえた雄鶏や、これまた巨大なトンボが女性を呑み込みかかっているブローチなど、見る者に恐怖心すら与えかねない異様なものばかり。異形の美なのですが、視覚にこびりついて忘れられない不気味さと、何度でも見たいと思わせる迫力があります。またグルベンキアンの天王星はラリックのASC・木星と合でこれまた刺激と発展性のある組み合わせです。天王星は自由も表わすので、グルベンキアンがラリックに好きなようにさせていたのはこの組み合わせの影響もあるでしょう。ともあれ、芸術家とパトロンの一つの理想的な相性をこの二人に見ることができました。

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2009年9月10日 (木)

ルネ・ラリックのホロスコープ(1)

 駆け込みで「生誕150年 ルネ・ラリック 華やぎのジュエリーから煌きのガラス」展へ行ってきました。一般的にはラリックというとガラス作家のイメージが強いですが、ジュエリー作家から出発した人です。ジュエリー作家としてはアール・ヌーボー期を代表する天才で、従来の宝飾品の概念を打ち破る斬新なデザインとステンドグラスのように裏が透けるエナメル技法(プリカジュールと言います)のジュエリーで知られています。今回はアール・ヌーボー・ジュエリーのコレクターの友人と一緒だったのですが、素晴らしい逸品が展示されていた一方、これはどうなの??と思わず疑問符をつけたくなるようなものもあり、友人とこれは怪しい、これは疑いようがないね、等々突っ込みながらの鑑賞となってしまいました。残念ながらラリックのジュエリーは贋作が大変、多いのです。もっとも、ラリックは工房と職人を抱え、自分はデザイン画を描いて、職人に作らせるタイプの作家でしたから、出来不出来にばらつきがあり、本物の駄物の可能性もあるのですが...後半のガラスに関しては全くの門外漢ですので、ほ~とほとんど通り過ぎてしまいましたが、革新的な芸術家でありながら、商業的な成功も納めた経営者としての両方の顔を持ち合わせているのは展示からも伺えました。ガラスではコティの香水瓶が有名ですが、ジュエリー時代の金工技術から量産に適したガラス製法を編み出すなど、芸術と商売の高度な融合が見られます。
興味を持つとチャートを読みたくなってしまいますが、なかなか出生時間までは判りません。海外のサイトをうろついて朝の9時生まれ(おそらくレクティファイしたもの)という情報をつかみましたので、信じて読むことにします。

Lalique_2 1860年4月6日生まれ。チャートを見てぱっと目につくのはかに座のASCに乗っている木星。牡羊座の太陽、天秤座の月とTスクエアを形成します。常に斬新さ、革新性、未踏破の荒野を目指すいわば身勝手な太陽に対し、天秤座の月は他者の視点を持ち込み鋭く対立しますが、同時に公私にわたって目的意識をはっきりと持ち、目標達成のためには精力的に行動します。満月生まれは基本、パワフルです。この太陽と月のオポジションに対し蟹座の木星は横やりを入れてきます。独自性を追求する牡羊座の太陽に対して平凡さと大衆性を表すかに座の木星が、それでは皆に受けないよとブレーキをかけるわけですが、この木星は不特定多数を公平に見ようとする天秤座の月によって更に皆って誰のこと、と否定され、個を重視する視点に立ち返ります。両立させるのが難しい斬新な芸術家としての資質と、一般大衆に受けて商業的に成功した側面を表しているといえます。木星がASCにかかっている人は木星の保護下にあります。寛大さと楽観性から社会的に認められ、受け入れられやすい人です。ラリックの成功の一因でもあります。さらに太陽は10ハウスにあり、野心家で名誉を求める性向を表します。この太陽に獅子座の土星がトラインで太陽、月とでレクタングルを形成し、慎重さ、確実さ、安定志向を与えます。太陽・月・木星のTスクエアだけですと、威勢と景気はいいものの、何でもやりすぎ過剰で暴走しがちですが、土星の抑えが利いてバランスがとれています。人生の基本路線は過剰さはあるものの、発展性・活力・堅実性・安定性とまずまずな感じです。一方、ラリックの才能はMC近くの海王星と金星・天王星の合、火星と冥王星のトラインに表わされています。魚座の海王星は、海王星本来の性質をいかんなく発揮します。MCは成長後の公的な顔を表しますが、ジュエリー作家、ガラス作家というそのまま、夢を形にする商売は海王星に導かれた仕事人生といえます。この海王星は牡牛座30度の金星とのみセキスタイルのアスペクト。海王星のビジョン、理想は金星が受け皿になり、美意識、感性という形で表現されます。さらに金星が牡牛座にあると五感や美意識が発達しますが、とりわけ最後の度数は「古い城のテラスで行進している一匹の孔雀」のシンボルで文化、伝統の最もすぐれた資質を開花させる度数です。ラリックの才能が西洋の工芸技術の伝統を引き継いだ上で咲いた大輪の花であることがわかります。この金星は天王星とも合で、これまた際立ったセンス、美意識を与えます。独自性の天王星意識が金星を通じて表わされるので、ありきたりな凡庸さを嫌い、独自の美を追求します。6ハウスの火星と冥王星のトラインは仕事に没頭する典型的な配置です。事実、ラリックは日々創作に打ち込む一方で、自分自身が営業マンとして国内外を飛び周り作品の売り込み、顧客との打合せ、プロモーションまでこなしていました。
これらの資質に加えてラリックがアール・ヌーボーという一時代の申し子であったことは忘れてはなりません。占星術上、アール・ヌーボーは1890年代の海王星・冥王星の合で表わされます。この合は霊性至上主義に関係し、極端にロマンティックな性質や霊性によって世直しを試みるような理想主義として出ることが多いのですが、1890年代の欧米を席巻したアール・ヌーボースタイルは正にこの合の表われです。1880年代後半から1900年前後がラリックのジュエリー作家としての活動期間でしたが、1880年代後半頃からトランジットの海王星・冥王星の合がラリックの金星・天王星の合にかかり始め、その後12ハウスを運行します。 

Lalique1888 ラリックは1887年頃から「かつて誰も見たことのない」ジュエリーを作るため、独自のスタイルを追求し始めます。海王星・冥王星の合が、ラリックの金星、つまり美意識を刺激したと見ていいでしょう。同時に12ハウスという内的世界から創作イメージを引き出したとも解釈できます。トランシット天体が12ハウスを運行する時は、尽きせぬイメージの泉から霊感を得られる時期なのです。

ラリックは1900年頃を境にジュエリーからガラスに関心を移していきます。1908年には香水商コティと関係が始まり、その後の商業的な成功に結びつくのですが、トランシットの海王星がネイタル木星の上を通過した時期に当たります。T天王星はT海王星とオポジション。より大衆受けするガラス製作に軸足を移したのは、海王星と天王星のアスペクトの意味する革新的創造力が、ラリックの木星を受皿に発現したからかもしれません。

アール・ヌーボーが流麗な曲線とロマン主義のスタイルならば、アール・デコはメリハリのついた直線と商業的合理主義が産み出したスタイルです。1925年の通称・アール・デコ展覧会にもルネ・ラリック館を初め、様々なガラス作品を出品します。1925年にはT冥王星がネイタル木星とASC上を通過。T木星もDSCを通過します。木星・冥王星の組み合わせは権力志向を表すので、この時期はキャリアの頂点を極めた時期にも当たります。

こうしてみてきますと、ラリックは生来の優れた資質に加えて、時代の波を上手に乗りこなした芸術家・商売人であったと言えるでしょう。

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2009年4月29日 (水)

リチャード・ファルド リーマン元CEO(2)

 前回に引き続きファルド氏ネタを。太陽に対し、火星・冥王星のスクエアは衝動的な行動からトラブルを引き起こしやすく、挫折の多い人生になりがちだ。だが、スクエアの持つマイナス面をコントロールできるようになれば、合やソフト・アスペクト以上のパワーをもたらす。むしろ、太陽・冥王星のハードアスペクトを持っている人は挫折して初めて人生の明確な方向性が見えてくるので、むしろ歓迎したい。 ファルド氏の経歴をざっと見ると、面白いのが若い頃の挫折体験だ。1969年にリーマンに入社する前の短期間、パイロットとして空軍に在籍していたのだが、部隊長を殴り、それが原因で軍を辞めたのだ。上官に侮辱された若い士官を庇ったと本人は主張しているそうだが、まさに太陽・火星・冥王星の組み合わせらしい挫折体験である。挫折してこのハードアスペクトを使いこなせるようになったのだろう、その後はリーマン内部で失脚することもなく、独裁制を引いて君臨していたわけだ。無論、部下の言うことに耳を傾けず、専制的にふるまえば有能な人材は離れていく。結果会社の業績が低迷した時に必要な手立てを迅速に打てないのは目に見えている。だが、冥王星のハードアスペクトを使いこなす胆力の持ち主にはなまじのトランシットの影響は効かない。昨年のトランシットの動きを追っていって「何が」トリガーになったのかつらつら見ていきおそらくこれだろう、と思われるのが下の図だ。

ワシントンDCでの2008年8月の日蝕図。2008_solar_eclipse_in_leo_2

獅子座9度での新月。これがファルド氏の冥王星を誤差なしで刺激している。蝕図では蝕が起きたポイントが流動化するとみなすので、ここで彼の冥王星パワー、つまり権力に陰りがでたといっていい。特にドラゴン・テイルでの蝕は過去が追いかけてくるとみなすので結果として損失や犠牲に結びつきやすい。またこの蝕図はリーダーシップをとっている人・団体・組織に異変が起きることを表す。さらに2ハウスに在室する火星と土星は、アメリカ経済が急速にしぼむことも示唆する。

こうして見ると、7年に1度の土星の調整がきかないのも考えものだ。土星は行き過ぎを抑制し、足りない部分は補うよう、促す。過剰な支配力や強欲さは本来、土星で矯正されるべきだ。土星がきかなければ、天王星・海王星・冥王星のいずれかによって「変節」がおきる。ネイタルやトランシットのハードな影響を乗り越えて使いこなせる人が蝕によってとどめを刺されたケースとして、興味深い。

一方で、昨年9月、リーマン破たんまでの動きはあまりに早かった。*

9月9日(火) リーマンが韓国産業銀行との出資交渉を打ち切ったと報道。

9月10日(水) リーマンが第3四半期に39億ドルの損失を出し、資産運用部門を売却して商業用不動産資産を切り離すと発表。ムーディーズが格下げ警告。9月11日(木)バンクオブアメリカとバークレイズがリーマン買収について協議開始。

9月12日(金)ファルド氏がバンクオブアメリカのCEOにコンタクト。交渉がまとまりそうな気配が見えたが、その後、バンクオブアメリカからリーマンへの連絡が途絶える。9月13日(土)前日に続きウォール街各社がNY連銀に集まって会談。ポールソン財務長官は政府によるリーマン救済を否定。

9月14日(日)バークレイズがリーマン買収に合意、ウォール街各社も資金調達支援で合意するが英国監督当局が承認を否認。

9月15日(月)午前2時、リーマンが連邦破産法第11条適用を申請。米国史上最大の破綻となる。

ファルド氏は野村証券やウォーレン・バフェットにも救済を求めたがいずれも交渉はまとまらなかった。破綻直前までのウォール街の雰囲気は見せしめに1社ぐらい潰しても危機の程度は限定的だろうというものだった。荒稼ぎした金融機関を、納税者様の血税で救済するのはモラルハザードを引き起こす懸念もあった。当時の政府・金融関係者の誰もがこの破綻がどれほどの影響を及ぼすか予測できなかったのを責めても仕方ない。だが9月15日破綻後のS&P500種株価指数は同時多発テロ以来、一日としては最大となる下げ幅を記録し、銀行貸し出し金利は急騰した。AIGも見捨てようとしていたポールソンは、急遽850憶ドル規模の救済を承認した。結果としてリーマンだけがババを引いたのだ。リーマン・ブラザースという会社の命運を読むなら会社の図で見るべきだが、会社創業図を手に入れるのは難しい。今回、最後のCEOのチャートで代用したようなものだが、ファルド氏の人生が会社と一体化していたような要素があったので、(何せ一度も転職していない。これは金融業界では珍しい!)不思議な一致を見せた。

*Bloomberg Markets 2009年2月号の記事より転載

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2009年4月23日 (木)

リチャード・ファルド リーマン元CEO

 日曜日の夜。NHKスペシャル、マネー資本主義を見ていたら、やたらと顔面アップされていたのがこのお方、リチャード・ファルド氏。ご存知、リーマン・ブラザースの最後の会長兼CEOである。そういや、しばらく見てなかった顔だな....と思いつつも、番組の内容は、昨年からの金融危機の原因となったアメリカの大手金融機関がどのように暴走し、破綻に陥ったのか、関係者のインタビューを中心に構成されており、良くまとまっていた。とりわけ目をひいたのが、公聴会で査問を受けているファルド氏。昨年9月15日にリーマンの破産法適用を申請するまでとその後の一連の振る舞いから、「強欲」な人のチャートを作ったら面白いだろうと作成したのが以下の図。雑誌等の記事を読むと、1994年以来16年もリーマンのトップに君臨し、94年に1億1300万ドルだった同社の利益を2007年には42億ドルにまで増やし、株価を20倍にするなど業界でも力のあるCEOと見なされていたとのこと。同時に大変激しやすく威圧的で、社内では意見を言う者などいない孤高の独裁者だったと人柄が描写されている。

Richard_fuld3_2

 

出生時間は不明。太陽は牡牛座6度の「峡谷にかかるカンチバレー橋」。所有することへの強い欲求を持つ牡牛座の中でも6度以降は欲求が増殖していく度数である。この太陽に対し、獅子座2度の火星と10度の冥王星がスクエア。獅子座の始めの度数は爆発的な活力を表し、尚かつ火星・冥王星の合も際立ったバイタリティを持ち、極限状態のキツイ仕事も平気でこなす高い仕事能力を表す。この火星・冥王星セットに太陽のスクエアは挑発的で他者に容赦ない性格が想像できる。他に目立つ組み合わせとしては、牡羊座の水星に対し、火星・冥王星はトライン、天王星はセキスタイル、海王星とオポジションと華やか。債券トレーダーからキャリアをスタートさせ、危機管理能力の高さを買われていたという経歴からも明らかだが、数字に強く、知的な集中力と閃きを持ち合わせているのが伺える。度数は牡羊座の9度「水晶占い師」で直観力に富み、優れた先読み能力に恵まれている。ただ、牡羊座の最初の度数は他者の視点は持ちにくいので、人の意見を聞かないのはブルドーザーのような太陽の組み合わせ以外に、この水星の影響もあるだろう。また「強欲さ」は太陽以外に金星の牡牛座27度が表していると言える。この金星はグレードの高いものを好む。ウォール街で登り詰めた男にはいかにも相応しい。月は水瓶座か魚座かはっきりしないが、社交嫌いで内向的とも言われた点からは魚座かもしれない。ここまでチャートを読んで、仕事ができる強欲な人物像ははっきりと浮かび上がってきたが、後もう2点の特徴が読める。それが足を引っ張っていなかったらリーマンは破産以外の道があったかもしれない....という特徴だ。まず土星は蟹座でアスペクトは天秤座の木星とスクエアしかない。そもそも土星が弱いと人生に安定感を作りだしたり、自分の分をわきまえてほどほどに抑えるということができない。土星の抑えが効かないからこそ、太陽は極限まで暴走して暴利を貪ったともいえる。次に元素の偏りで柔軟サインは双子座の天王星しかない。機敏にマーケットの状況にあわせて手を打てなかったのは、太陽の高すぎるプライドが邪魔しただけでなく、「変化」に対応できなかったのも一因だと思う。固定サインが強いと自分の価値観に固執して状況判断に狂いが生じがちだからだ。

 リーマンが破産してからまだ一年もたっていない。後から振り返って、実はあれは●●だった...というにはまだ早い。しかしそろそろ、大まかな輪郭はつかめそうな気がする。今回ファルド氏のチャートと併せて昨年の蝕図もちょっと見てみたが、これがまた面白い。当分、遊べそうだ。

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